◆今井悠也
ぼくのお日さま
糸綴じのこんもりした分厚さが厚い雪をイメージさせる。作品世界を「そのまんまやる」のではなくあくまでモノとしての映画パンフに置き換えることに成功しているように思った。
すべての夜を思い出す
監督自ら手作りで制作されたという素朴な作りながら温もりと気迫を感じる、素敵な一品。
『エクスペンダブルズ』シリーズ 劇場用パンフレットBOX
長年のファンを感無量にさせるであろう逸品。しっかりした持ち応えで、いかなる激しい戦闘にも持ち堪えそう!
ファースト・カウ
牛の瞳の部分の穴がパンフを貫通!中面は、牛の視点から泥棒たちをめぐる顛末を見守る仕掛け。映画パンフをのぞくとき映画パンフもまたこちらをのぞいている。
Cloud クラウド
ベスト・トレーシングペーパー賞。表紙と裏表紙で、匿名世界の恐ろしさを醸している。
ボーはおそれている
劇中、ボーの道のりの先々に現れる紙モノアイテムを集約。意地でもこの散々な旅の思い出を持ち帰ってほしいという執念を感じる。
インフィニティ・プール
劇中の通貨や航空券、自動車の組み立て付録など。アニメ系以外で、切り取り線入りの付録を久々に見たような気がします。
ミッシング
100ページにも及ぶ、豊富な取材に基づく記事内容が読み応えばっちり。表紙から裏表紙にわたる主演女優のショットなど、写真使いにもこだわりを感じる。
ロボット・ドリームズ
劇中の段ボール箱を模したハンディなデザイン。開くときはワクワク、読み終わる頃には人生の酸いも甘いも噛み締めてホロリ。
胸騒ぎ
新聞風自体は昔からある手法ではあるけど、広告欄などふんだんに遊びを盛り込んだ構成が丁寧で芸コマに感じた。
物価高騰、ペーパーレスなどの影響で、映画パンフ好きにとってはなかなか苦しい状況が続いていますが、日本が誇る映画・紙モノ文化の灯が絶えぬよう、引き続き当団体の活動が一助になれればと思います。
◆小島ともみ
ぼくのお日さま
なんといっても、ページをめくるごとに変化していくお日様の黄色いシルエット。あえてハサミでカットした風の加工が技あり!です。紙の手触りも優しく、映画の雰囲気にもぴったり。タダジュンさんの版画をあしらった箔押しの表紙も最高です。
ボーはおそれている
劇中に出てくる紙モノを手を替え品を替え、これでもかと挟み込み、ボーの悪夢の追体験へろ誘う、なんとも意地悪なギミックに舌を巻く。パジャマの質感を出した表紙にも唸りました。だまし絵のようだ。
ボルテスV レガシー
スレ加工のケースにワクワク。オリジナルアニメが放映されていた昭和の時代のテイストを盛り込みつつ、嫌みなくおしゃれに見せるデザインが素敵です。設定資料やTVアニメ版への言及もあり、新旧ファンにうれしい内容。
落下の解剖学
究極にまでシンプル、だのに映画を観たあとで眺めると、ゾッと怖くなる表紙のアイデア!映画の結末をどう捉えるか、誰かと語り合いたくなったときに紐解くことで、内面での対話が可能になる監督インタビュー、コラムのネタばれなし感がとても良かった。
胸騒ぎ
タブロイド判パンフの決定版的!懐かしの新聞映画広告に始まり、四コマ漫画、レシピ紹介、「事件」に絡む不吉な広告など、遊び心満載で、これは読み手ももちろん、作り手も楽しかっただろうなあと妄想してしまった。
ロボット・ドリームズ
鑑賞後に見たら涙腺直撃の表紙!ここから全てが始まった。劇中で細々登場するNYカルチャーを丁寧に説明するページも、マップも作品への愛が感じられ、さらに涙を誘われる。監督インタビューは噛みしめるように読んでしまった。
ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ
ふわふわした心地よい手触りで、スタイリッシュなデザインの表紙。しかし実は読みパンフとして優れている。舞台となった70年代の空気感をどう出すのかといったプロノ、楽曲解説など、作品の世界観を丹念に紐解く内容で、映画がさらに愛しくなる。
Cloud クラウド
不気味さとスタイリッシュさのバランスが絶妙な、黒紙に銀字の本文。ダークサイドを抉る映画の世界観の延長線上にあり、裏表紙でとどめを刺す半透明の紙遣いの巧みさ!
ストップ・メイキング・センス 4Kレストア
誰もが欲しくなる格好いい表紙!ひたすら音楽を聴かせる映画に相応しいプロノ充実、楽曲紹介は収録アルバムの記載があるのがうれしい。Talking Heads後追い組にもバンドの歴史や変遷がよく分かる。
一月の声に歓びを刻め
サイズ違いの紙の上にかかるタイトル。ほんの少し印刷や製本がズレただけで格好悪くなってしまうところ、ぴたりと収まっている技術力に感嘆。重い内容の映画ではあるけれど、監督のインタビューを読むと、まさに撮るべくして撮られた作品だと感じます。
◆ながせ
Shirley シャーリイ
高級感のある表紙、作品内容にあわせた執筆陣(小川公代さんなど!) による読み応えあるテキスト。丁寧につくられたパンフで大好きです。
ぼくのお日さま
表紙のインパクト、細部へのこだわり(デザイン、写真など)が魅力的で力強く美しかった。黄色い糸のステッチと、真ん中の黄色いお日さまが素敵です。
メイ・ディセンバー ゆれる真実
大好きだった作品のパンフ。表紙がインパクトあり&作品の世界観にピッタリで、劇場で並べられているのを観た瞬間に大興奮でした。
夜明けのすべて
作品が大好きなので、何度も何度も読み返しました。人物の細かい設定ひとつひとつが優しさとあたたかさに溢れていて、その誠実さに胸打たれました。
ナミビアの砂漠
ピンクの色使いが良い。なんといってもスベスベの質感が忘れがたい!
すべての夜を思いだす
えんぴつで書いたようなイラスト、手づくり感満載の紙えらび。パンフには個性があって欲しいなぁと勝手ながら思ってしまうものの、「この発想はなかった!」と、表現の限界を決めない自由さを体現してくれたようで素直に驚きました。
ロボット・ドリームズ
作品ファンの心をくすぐる表紙デザインも魅力的ながら、音楽や当時のニューヨークの雰囲気を感じさせるテキストの充実ぶりがよかった。
近年、価格高騰を嘆いてきたものの、値段がさらに上がっているように感じます。また、昨年まではパンフを作ってくれる特集上映も多かったように感じていましたが、そういった企画自体が増えてきたからか、パンフのない企画も多かったように思います。Bunkamuraによく行くのですが、上映作品のパンフがなにもない時期が多くあり、寂しいなと思いました。
◆パンフマン
胸騒ぎ
新聞型パンフの歴史に新たな一ページ。
デビルクイーン
こんな知る人ぞ知るブラジルの70年代映画がひっそりと公開されて、愛らしいパンフレットまで作られるなんて。
HOW TO BLOW UP
雑誌「スペクテイター」を連想した作り。表紙の紙やどんなフォントが使われているかも奥付に。
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
パンフレットを発行する行為そのものに批評性が込められているそうだ。中身でも映画そのものを全肯定しているわけではないところにも好感。
青春
映画そのものは見れてないけど、パラパラとめくって観たような気持ちになっていた。
ほか資料系パンフ
『ランボー トリロジー 4K』
『70年代ディストピア映画が映した暗黒郷』
「クルージング」関連本『80年代アメリカ犯罪映画の世界』
「70/80年代 フランシス・F・コッポラ 特集上映 -終わりなき再編集-」
「ベット・ゴードン エンプティ ニューヨーク」
「ニナ・メンケスの世界」など
資料性の高さは言うまでもなく、これまで映画館で観たことがなかったものが劇場で見れて単純に嬉しい。劇場のスクリーンで再見すると新たな発見があるものだ。単なる過去作の回顧上映にとどまらず、時代を経て、進んだ考察なり、移り変わった作品への見方がパンフレットで提示されていて尊い。
◆やしろ
ボルテスV レガシー
昭和を感じる児童誌を彷彿とさせ、角部の劣化も見事に再現するデザインに徹底したこだわりがみなぎる。
すべての夜を思い出す
ハンドメイドで製本されたパンフはデザインもさることながら、多くの寄稿によるテキストの数々が素晴らしい。
エクスペンダブルズ ニューブラッド
本作も含めた全作で同じ仕様を貫いたおかげで、シリーズのパンフBOXセットというファン垂涎のアイテムを生み出した。
胸騒ぎ
タブロイド判の大型パンフは作中の新聞風になっており、鑑賞後の憂鬱さを何度でも反芻させてくれる。
ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ
作品を取り巻く規模が1作目より大きくなった今作のパンフでも付録のドラマCDは健在!まだまだちさまひのユルい殺し屋ライフが楽しめる。
正義の行方
飯塚事件に関わった警察、弁護団、メディアの証言をパンフにも採録。この事件の異様さを再確認させられる。そして7本のコラムは正義とは一体何なのか?を我々に問い続ける。
ぼくのお日さま
箔押しの表紙に糸綴じの繊細なデザイン。ページの随所に配置されたお日さまを楽しみつつ、映画の前日譚など興味深いテキストも満載!
ロボット・ドリームズ
ロボットが梱包されていた段ボールの表紙デザインは、映画の思い出をパッケージしてくれているようで嬉しい。内容もバラエティに富んでいて、映画を何度でも見返したくなる内容。
石がある
表紙のみならず、パンフの中でもいろんな紙を使っていてページをめくること自体が楽しい一冊。内容も「すべての夜を思い出す」のようなテキスト中心で、特に太田監督と五所純子さんの往復書簡が楽しい。
温泉シャーク
PATUの総力を結集して製作された満漢全席パンフ。全ページフルカラーで極彩色は見るだけで楽しい。そしてみんなで作ろう飛び出す温泉シャーク!
他に「帰ってきた あぶない刑事」「Firebird ファイアバード」「ヒットマン」「ニューノーマル」。
まさか「グラディエーターII 英雄を呼ぶ声」のパンフが作られていないとは!?他にも「市民捜査官ドッキ」、「リュミエール!リュミエール!」、「ぼくとパパ、約束の週末」、「クワイエット・プレイス:DAY 1」はパンフを作って欲しかったなぁと。