映画パンフは宇宙だ!

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2023年7月に公開された映画のパンフ!

2023年7月に公開された映画のパンフレットをPATUメンバーが紹介します!

『Pearl パール』

一見ふつうに見えて、手に取ると「X」の形に切り抜かれている表紙を踏襲しつつ(切り口にあらわれる顔にドキリとさせられる)、60年前にさかのぼったレトロ感あふれるデザインにときめく。『Pearl パール』で引用されている、あるいは背景にある過去の映画を徹底紹介したレビュー、映画を華やかに盛り上げる劇伴について含んだプロダクションノートなど、読み応えも十分。『X エックス』では劇中劇「農場の娘たち」のプログラム的挟み込みがされていたが、今回挟み込まれるのは、もちろん、誰もが手にしてみたくなる「アレ」である。そして最後のページにあらわれる「広告」に歓喜するだろう。実現の可能性は分からないが、この力強い願いともいうべき堂々たる1ページには未来がある。(小島)

発行日:2023年7月7日
編集・発行:ハピネットファントム・スタジオ
デザイン:大島依提亜・中山隼人
編集協力:ガイエ
定価:¥1,000(税込)

『裸足になって』

アルジェリアの女性監督による、ある闘いの物語を描いた本作。パンフレットには、物語に登場するキーワードを軸にしながら、アルジェリアという国や文化の説明も。柚木麻子氏によるコラムでは、監督の前作『パピチャ 未来へのランウェイ』にも触れながら、女性たちの憤りや立場、想いが語られる。苦い想いをしながらも、1歩ずつ前に進もうとしてきたすべての女性たちに敬意を評したくなる想いのこもったコラムに胸打たれた。(ながせ)

発行日:2023年7月21日
発行承認:ギャガ株式会社
編集・発行:松竹株式会社 事業推進部
編集:川本奈七星(松竹)
デザイン:奥村香奈(ヒグラシデザイン)
印刷:日商印刷株式会社
本体価格:950円(税抜価格864円)

『PLASTIC』

幻のロックバンド"エクスネ・ケディ"を介して心を通わせる2人の青春物語のパンフレットは、半分がエクスネ・ケディのムック本、半分が作品のパンフレットといった不思議な形態。昔のサブカル系雑誌のようなレイアウト、テキスト多めのムック本側に対し、パンフ側もロック年表、インタビューにレビューとテキスト充実。レビューは清原唯監督、筒井武文監督が担当。宮崎大祐監督が脚本を手がけた『孤独な惑星』が大好きだったのでこの人選が嬉しかった。(ながせ)

発行日:2023年7月12日
発行所:株式会社boid
編集:黒岩幹子
編集協力:樋口泰人、大橋咲歩、宮崎大祐、古賀香澄
協力:名古屋芸術大学
デザイン:宮一紀
印刷:山猫印刷所
定価:1,200円(税込)

『イノセンツ』

シルバーのページ(なんと全ページ!)が北欧発のサイキック・スリラーの雰囲気を伝えてくれるパンフレット。メインの4人の子どもたちのキャラクターポスターがカッコいいなと思っていたら、しっかり綴じ込まれていました。不思議な力を持つ子どもたちのせつなげな表情、特に"目"にフォーカスした写真の使い方が印象的です。(ながせ)

発行日:2023年7月28日
発行・編集:有限会社ロングライド
テキスト協力:高橋諭治
デザイン:石井勇一(OTUA)
本体価格:900円(税込)

『星くずの片隅で』

香港映画というといまだに屋台やネオンの賑やかな雰囲気が頭に浮かぶ私にとって、このパンフの装丁はそんなイメージから離れていた。コロナ禍を描くこの夏出会った意外な傑作は表紙のイラストのように柔らかい余韻を残す。聞き手をリム・カーワイ監督が務める新鋭ラム・サム監督と主演アンジェラ・ユンのインタビューを面白く読んだ。(ながせ)

発行日: 2023年7月14日
発行:cinema driffters・大福・ポレポレ東中野
編集:福士織絵(大福)
デザイン:川原樹芳(100KG)・大柴千尋(100KG)

『みんなのジャック・ロジエ』

シンプルなスカイブルーの表紙のパンフレットは紙も重め、内容もテキストがびっしり並ぶ。奇しくも今年6月に96歳で亡くなったロジエの特集上映はそれよりも以前から企画されていたようで、ロジエと長年親交のあったベルナール・メネズのインタビューの時点ではロジエは存命だったそう。ロジエの人となりを表すメネズのインタビューは必見です。(ながせ)

編集・発行:エタンチェ
デザイン:塚本陽
発行日:2023年7月29日

『アイスクリームフィーバー』

左開きと右開きで内容が異なり、出演者監督インタビューなどパンフ然とした内容の左開きと、グラビアや対談などカルチャー誌のような右開きと、それぞれで違った趣があって楽しい。観音開きページもある贅沢な構成で、90年代カルチャーにどっぷり浸かった人なら満足すること間違いなし!(やしろ)

発行日:2023年7月14日
編集:小口心平(TAIRA)、TOKION
デザイン:佐藤百実、千原徹也(れもんらいふ)、TOKION page 加藤京子(sidekick)
印刷所:株式会社久栄社
価格:1,200円(税込)
編集協力:SYO

『大いなる自由』

6Pにわたる監督のインタビュー、4本のコラムから映画で描かれる刑法175条をめぐるドイツ近現代史の流れが理解できてうれしい。各ページに配置されている写真が、1作中の息苦しさを効果的に表現している。(やしろ)

発行日:2023年7月7日
編集:露無栄(ON VACATION)
デザイン:須山悠里
印刷所:株式会社八紘美術
価格:1,000円(税込)

『先生!口裂け女です!』

キャストと監督のインタビュー、プロダクションノート、コラムも2本とテキストが充実。写真も多く配置されており、制作のエクストリームの本気がみえる。(やしろ)

発行日:2023年7月7日
編集:星野和子(エクストリーム)
デザイン:廣木淳
価格:1,000円(税込)

『ドキュメント サニーデイ・サービス』

ボーカル&ギターの曽我部恵一氏責任編集の公式パンフレット「思い出」は、122ページに及ぶ大ボリュームで、さらに2021年5月6日に行われた無観客配信ライブのCD付き。ちなみにこのライブ映像は本編で観ることができる。
メンバー3名それぞれのパーソナリティーが垣間見える本人執筆のコラムや、曽我部恵一×夏目知幸の対談、90年代の音楽的時代背景とそこにおけるサニーデイ・サービスのポジションについて理解することができる北沢夏音氏の寄稿、全ディスクレビューなどなど、現時点までのサニーデイ・サービスを知るにはもってこいのスペシャルな一冊。
完売する映画館も出てきているそうで、狙っている方はお早めに。(鈴木)

価格:2,000円(税込)

『バイオハザード:デスアイランド』

4本のスタッフインタビューがかなり深掘りしていて読み応えバツグン!設定資料やアートデザインを眺めていると、まるで攻略本を読んでいる気さえなってくる。(やしろ)

発行日:2023年7月7日
編集:糸井明日香
デザイン:千葉友浩(BeeWorks)
印刷所:株式会社久栄社
価格:1,000円(税込)
取材・執筆:畑史進(クルーズ)
編集協力:ジャンクハンター吉田

『ヒッチハイク』

表紙のデザインセンスが○。テキストが主演、監督のインタビューのみだが、そのぶん写真がふんだんに盛り込まれ、見て楽しむ内容となっている。(やしろ)

発行日:2023年7月吉日
編集:アルバトロス・フィルム
デザイン:GRAFIGHTER
価格:1,000円(税込)

『ヴァチカンのエクソシスト』

インタビューこそないが、高橋ヨシキ氏と、なんと本物の神父と田中昇神父(カトリック東京大司教区司祭)のコラム、そしてパンフレットの半分がプロダクションノートという大胆な構成。文字組も様々なフォントが飛び交い悪魔的である。SNSで話題になっているプロデューサーのジェフ・カッツ氏が映画パンフレット文化に好意的なので、きっとあるはずの続編のパンフも楽しみ。名著だ。(やしろ)

発行日:2023年7月14日
編集:株式会社東宝ステラ
デザイン:有限会社ダイアローグ
印刷所:株式会社久栄社
価格:880円(税込)

『CLOSE/クロース』

瀧本幹也氏のコラムで作品の光彩の解説、岩川ありさ氏によるレオとレミの関係性の複雑さを分析した寄稿が素晴らしい。監督インタビューとプロダクションノートも充実しており、写真も作品と成長した現在の彼らが両方あるのが素敵。表紙と裏表紙の美しい花畑の写真の対比が本作の悲しさを表している。(やしろ)

発行日:2023年7月14日
編集:クロックワークス
デザイン:岡野登(Cipher.)
印刷所:三永印刷(株)
価格:900円(税込)

『サントメール ある被告』

鑑賞中は心中穏やかでいられないので、こうして監督インタビュー(国際プレス)、3本のコラムで、本作のロランスがいかに孤立して追い詰められていたかが分析されているのは嬉しい。エンドロールで流れるニーナ・シモンの「Little Girl blue」の歌詞と対訳も掲載されているので、作品の余韻に浸ってほしい。(やしろ)

発行日:2023年7月14日
編集:株式会社トランスフォーマー
デザイン:岡野登(サイファ。)
価格:900円(税込)
編集協力:ムヴィオラ

『マッド・ハイジ』

あまりボリュームはないが、キャスト、スタッフのインタビューとディレクションノートはちゃんと掲載。巻末のファンアートコンテストの優秀作品を掲載しているところに、本作が多くのファンによって支えられていることがうかがえる。(やしろ)

発行日:2023年7月14日
編集:上田佳菜
デザイン:秋山京子
価格:600円(税込)
編集協力:金恵玉

『わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏』

監督のプロダクションノートや、関係者のコラムなど美術館の社会貢献や存在意義、そして日本の美術館が抱える問題点など多角的な数々のテキストの熱量が尋常ではない。作中に登場する作品紹介、改修工事の撮影日記など見ても楽しい。(やしろ)

発行日:2023年7月15日
編集:大墻敦、マジックアワー
デザイン:寺澤圭太郎
価格:1,000円(税込)

『古の王子と3つの花』

各話の物語の背景や地理解説など作品解説がかなり充実している。監督インタビューが2本あるなど、これ一冊で丸わかり間違いない。そして作品に関連するスイーツのレシピまで掲載されていて、楽しみが尽きない。(やしろ)

発行日:2023年7月21日
編集・発行:株式会社チャイルド・フィルム
デザイン:大寿美デザイン
価格:900円(税込)

『世界のはしっこ、ちいさな教室』

本作に登場する3人の教師の赴任地の教育事情の紹介が興味深い。監督、プロデューサーのインタビュー、そして著名人のコラムから教育の必要性は万国共通なのだと考えさせられる。(やしろ)

発行日:2023年7月吉日
編集:アルバトロス・フィルム
デザイン:大寿美デザイン
価格:900円(税込)
編集協力:落合有紀

『ナチスに仕掛けたチェスゲーム』

事前に予備知識なしで観ると「思ってたんと違う!オブ・ザ・イヤー」になってしまうので、観賞後はパンフでしっかりと復習して落ち着こう。原作の翻訳者、杉山有紀子氏の寄稿や、クレメンス・レノルトナー氏による原作者シュテファン・ツヴァイクの解説など、原作のフォローにとても手厚い内容。(やしろ)

発行日:2023年7月21日
編集:株式会社キネマ旬報社
デザイン:大寿美トモエ
価格:800円(税込)
編集協力:山元明子(ヘルベチカ)

『658km、陽子の旅』

熊切監督と菊地凛子さんの対談形式のインタビューと長島有里枝氏のコラムを読むと、鑑賞中に心の中でグルグル回っていた気持ちを非常に明確に言語化してくれて助かる。掲載されてるロケーションマップが東北に渡っており、この作品が非常に東北に寄り添っていることがうかがえる。(やしろ)

発行日:2023年7月28日
編集:カルチュア・パブリッシャーズ
デザイン:thumb M
印刷所:北斗社
価格:880円(税込)

『イビルアイ』

テキストは監督インタビューとプロダクションノートのみ。キャスト紹介や場面写真など基本的な内容は揃っている。お手頃価格なので、パンフレットを買ったことない人にとっては入門編として最適!(やしろ)

発行日:2023年7月28日
編集:AMGエンタテイメント
デザイン:柳田友紀子(arms graphics)
価格:700円(税込)

『さらば、わが愛 覇王別姫 4K』

監督のインタビューや蝶衣と小樓が過ごした幾時代の解説が嬉しいが、場面写真や撮影中の写真がパンフの大半を占めていて、思わず「わかってらっしゃる!」と嬉しくなってしまう。レスリー・チャンの息を飲む美しさをいつまでも眺めていられる。(やしろ)

発行日:2023年7月28日
編集:原田就(KADOKAWA)、望月麗奈(サンクレイオ翼)
デザイン:塚本陽
印刷所:三永印刷(株)
価格:1200円(税込)
協力:高秀蘭(ニューウェイブ)、杉山淳子(KADOKAWA)

『シモーヌ フランスに最も愛された政治家』

日本ではあまり馴染みがないシモーヌ・ヴェイユを知るには、秦早穂子氏、高崎順子氏の2本のコラムと、家族構成や年表、さらには関連用語解説が掲載されている本パンフが最適!フランスを初め、世界に大きな功績を残したシモーヌの足跡を辿れる一冊。(やしろ)

発行日:2023年7月28日
発行:アット エンタテインメント
デザイン:クスハラデザイン
価格:800円(税込)

『猫と、とうさん』

インタビューや登場する飼い主の紹介もそこそこに、本作の主役の猫たちがページいっぱいに広がっていて眼福な内容となっている。(やしろ)

発行日:2023年7月28日
発行:ファインフィルムズ
デザイン:峰田久美
価格:800円(税込)

『金持を喰いちぎれ』

映画史上最大の失敗・愚行で第49位にランクインしている超インディペンデント作品がリバイバル公開。このパンフがなければ、文脈が分からずモーターヘッドのレミーの存在感しか残らないことになっていたかもしれない。出演者、背景が大判できめ細やかに解説されています。(パ)

発行日:2023年7月14日
編集・発行:キングレコード
デザイン:岡崎恭子
定価:800円(税込)

『ランガスタラム』

写真とテキストのバランスがいい。各登場人物像を簡潔、丁寧に紹介されている。6ページにもわたるトリビアは読ませる。豆知識の領域を超えている。巻末の各国での受賞歴一覧にも唸らされる。(パ)

発行日:2023年7月14日
制作:フルモテルモ
デザイン:中野香
テキスト:安宅直子
定価:1,000円(税込)

『絶唱浪曲ストーリー』

ベテラン浪曲師に弟子入りした新人浪曲師の成長を通して浪曲の魅力を映し出したドキュメンタリー。浪曲の世界については詳しくなかったので、登場人物紹介が単純にありがたかった。ここには印象的な「猫のあんちゃん」という白い猫も紹介されている(ちなみにFilmarksにも登録されているが他の作品への出演はしていないようだ)。あと東風パンフではおなじみのディレクターズ・ノートのコーナーが好き。巻末に映画ポスターやチラシが配布されたお店一覧が写真と一緒に掲載されていて、ここにある蕎麦屋とか喫茶店に行ってみたくなる。(パ)

発行日:2023年7月1日
発行・編集:東風+川上アチカ
デザイン:成瀬慧
定価:1,000円(税込)

『神回』

今年もいいペースで「ループもの」映画が公開。監督インタビューでA24やブラムハウスのタイトルが並ぶ中で、ロバート・ロドリゲス監督『パラサイト』という懐かしい名前も挙げられるなど青春度が高い作品。(パ)

発行日:2023年7月21日
発行:東映ビデオ株式会社
インタビュー原稿/原稿協力:甘利美緒
デザイン:川名亜実(OCTAVE)
価格:900円(税込)

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』

大作映画らしく写真やインタビュー豊富でしっかり読みたい一冊。トム・クルーズのインタビューは掲載が無いのだが、メイキング風景の写真も惜しみなく見せてくれるのが本シリーズの嬉しいところ。パンフを読みながら続編公開を楽しみにしておこう!(machi)

発行日:2023年7月21日
発行者:大田圭二
発行所:東宝株式会社ライツ事業部
編集:株式会社東宝ステラ
デザイン:平塚寿江(東宝ステラ)
印刷:成旺印刷株式会社
定価:880円

<番外編>

『労働映画目録海外編(1)1894〜1989』

映画で誰かが働いている姿を見つけたら、どんな気持ちになりますか?い自分も頑張ろうと思いますか?それとも、嫌な仕事のことを思い出して、目を閉じてしまいそうになりますか?この冊子では働く人の仕事と暮らしを描いた作品を1037本をデータベース的に網羅!この映画を労働映画と定義しますか!と驚いたり、知らない職業を見つけたり、図鑑をめくるような感じで楽しめます。と同時に映画がどのように労働を描いてきたのか、その変遷も読み取れます。(パ)

発行日:2023年7月15日
発行:NPO法人 働く文化ネット
リスト作成:清水浩之
企画:清水不二一
定価:1,200円(税込)

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