2023年6月に公開された映画のパンフレットをPATUメンバーが紹介します!
『怪物』
本作で最も魅力を感じたのは坂本龍一によるスコアだった。公開直後から一部では、彼の最新作からの楽曲使用などにさまざまな声が漏れ聞こえていたが、パンフには短いながらも、坂本のコメントが寄せられ、状況が伝わった。あたまに浮かんだ作品への疑問に、答えて(応えて)くれる内容のパンフレットはやはり嬉しい。プロダクション・ノートも読み応えがあり、岡室美奈子さんの寄稿も面白く読んだ。(ながせ)
発行日:2023年6月2日
発行者:大田圭二
発行所:東宝株式会社ライツ事業部
編集:株式会社東宝ステラ
編集協力:佐々木淳
テキスト執筆:門間雄介(各インタビュー、プロダクション・ノート)
パンフレットデザイン:大島依提亜
スチル:末長真
印刷所:成旺印刷株式会社
定価:990円(税抜本体価格900円)
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』
最近B5サイズのパンフが多い中、ガッツリB4大きめ"古き良き"サイズが嬉しい新作のパンフ。中身もロケ現場の様子や絵コンテ、衣装コレクションなどどこか懐かしいパンフレット。インディ最後の冒険を謳う本作を楽しみ、すっかり祭りに踊らされて、過去作がコンプリートされたプレミアムコレクション(※)もつい購入してしまった。(ながせ)
発行日:2023年6月30日
発行者:大田圭二
発行所:東宝株式会社ライツ事業部
編集:株式会社東宝ステラ
デザイン:有限会社ダイアローグ
監修用翻訳:武部由子、三井貴美子、村上清幸(合同会社リリョク)
印刷所:成旺印刷株式会社
定価:880円(税抜本体価格800円)
※「インディ・ジョーンズ プログラムコレクション2023」
『ウーマン・トーキング 私たちの選択』
ポスタービジュアルと表紙のデザインには意外性が感じられ、パンフを見たときには少し驚きがあったが、作品をよく表現していると思う。中面も、品のいいブルーの色使いと各ページに施された花のデザインがとても好み(ながせ)
発行日:2023年6月2日
発行者:大田圭二
発行所:東宝株式会社ライツ事業部
編集:株式会社東宝ステラ
デザイン:奥村香奈(ヒグラシデザイン)
印刷所:株式会社久栄社
定価:880円(税抜本体価格800円)
『ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ リプリーズ』
2012年に開催されたレトロスペクティヴの時のプレスからの引用も多いものの、今回もパンフが作られたことがまず嬉しい。22年に亡くなった、カサヴェテスと併走したプロデューサー、アル・ルーバンの追悼の意も込めての開催らしいこのイベント。当時、アルから寄せられたというメッセージもパンフにはしっかり再掲されている。(ながせ)
発行日:2023年6月24日
編集・発行:株式会社ザジフィルムス
編集:プンクテ
デザイン:山田裕紀子
定価:1,000円
『苦い涙』
R・W・ファスビンダーの『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』を下敷きにした、フランソワ・オゾンの新作。
パンフはなんとほぼ全ページにゴールドが施され、なかなかにゴージャス。芝山幹郎、辛酸なめこ、柳下毅一郎によるそれぞれに切り口の異なるエッセイも面白く、満足度の高い1冊。劇中でもチャーミングなカールがこちらを覗いているような表紙のデザインも楽しい(ながせ)
発行日:2023年6月吉日
テキスト協力:高橋諭治、杉原賢彦
デザイン:大島依提亜
印刷:株式会社八紘美術
編集・発行:セテラ・インターナショナル
『コロニアの子供たち』
A5のコンパクトなサイズに3本のコラムと監督インタビュー、コロニア・ディグニダの歴史など実際にあった事件の邪悪さを理解するのに最適な内容。作中の写真がほとんどだが、最後のページで実際のコロニアの人たちの写真があり、おぞましさをかんじさせる。(やしろ)
編集:星野和子(エクストリーム)
デザイン:伊藤拓希(CYZO.inc)
価格:800円(税込)
『テノール! 人生はハーモニー』
映画の解説はもちろん、音楽ライターの小室敬幸氏や声楽家の武田正雄氏のコラム、劇中で使用された楽曲解説やオペラ座豆知識など、音楽に関する記事が非常に充実している。これをきっかけにオペラにハマってくれる人が増えて欲しいという気概が伝わってくる。(やしろ)
発行日:2023年6月9日
編集:阿部寛子、宮部さくや(松竹)
デザイン:有吉美佐子(松竹)
印刷所:日商印刷株式会社
価格:880円(税込)
『逃げきれた夢』
瀬々敬久監督や、賀来タクト氏のコラムでは二宮監督のパーソナリティから本作を読み解くことができる。本作のロケ地であり、フィルムコミッションを早い時期から始めている北九州市のロケ地マップがあるのも良い。(やしろ)
発行日:2023年6月9日
編集:株式会社キネマ旬報社
発行承認:株式会社キノフィルムズ
デザイン:古山茉梨奈(ヘルベチカ)
価格:800円(税込)
編集協力:山元明子(ヘルベチカ)
『プチ・二コラ パリがくれた幸せ』
インタビューや寄稿のテキストがとにかく充実している。しかもそのどのページにもプチ・ニコラの可愛らしいイラストが散りばめられている。キャストコメントも本国と日本語吹き替え両方のキャストが掲載されているのも嬉しい。(やしろ)
発行日:2023年6月9日
編集:佐藤みを、中根佳穂、阿部律子
デザイン:岡野登(サイファ。)
印刷所:三映印刷
価格:1100円(税込)
『M3GAN/ミーガン』
3本のコラムの中でも、IT評論家の伊本貴士氏の寄稿はミーガンが決して飛躍した発想の映画ではないことがよくわかる。5ページにわたるプロダクションノートも読み応えあり。(やしろ)
発行日:2023年6月9日
編集:株式会社東宝ステラ
デザイン:有限会社ダイアローグ
印刷所:成旺印刷株式会社
価格:880円(税込)
『アシスタント』
海外の雑誌のようなデザインが印象的なパンフレット。過去のアシスタント経験の話を交えながら書かれた武田砂鉄さん、永井玲衣さんそれぞれのエッセイや、劇中の音から映画を掘り下げる小柳帝さんのレビューなど寄稿者の選定も良い。映画パンフレットでなかなか例を見ないテキスト量の読み応えある一冊となっています。(しかまる。)
発行日:2023年6月16日
発行:SENLIS FILMS/Senlis Inc.
編集:池田彩乃(SENLIS FILMS)
デザイン:成瀬慧(resta films)
印刷・製本:株式会社グラフィック
定価:990円(税込)
『カード・カウンター』
カジノテーブルを模した表紙に、全ページをトランプのカードになぞらえる凝った作り。
カジノ用語の解説や、町山智浩氏のコラムは本作を読み解く上で非常に参考になる。これを読んでもう一度、鑑賞することをお勧めする。(やしろ)
発行日:2023年6月16日
編集:トランスフォーマー
デザイン:岡野登(サイファ。)
価格:1,000円(税込)
『ザ・フラッシュ』
ここまでのDCEUの相関図や作中のイースターエッグ、他のフラッシュ作品紹介、充実のプロダクションノートなど大満足の一冊。そしていったん終了することになるDCEUを総括するような内容になっている。(やしろ)
発行日:2023年6月16日
編集:岩田康平(松竹)
デザイン:飛田健吾【INFINI I GRAPHICS】
印刷所:成旺印刷株式会社
価格:900円(税込)
テキスト協力:吉川悠(FLASH FACT、CHARACTERS、TIME LINE、KEYWORDS)、稲垣貴俊(監督・キャストインタビュー)
『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』
表紙が観音開きのような特殊な装丁。カラフルなイラスト満載の内容は読んでて楽しい。何より設定イラストバリエーションはイラストレーターのクレジットが入っており、とても好感が持てる。(やしろ)
発行日:2023年6月16日
編集:株式会社東宝ステラ
デザイン:平塚寿江(東宝ステラ)
印刷所:成旺印刷株式会社
価格:1,100円(税込)
テキスト&翻訳:主水
『What If...?』
※「Disney+ (ディズニープラス)」にて配信中のドラマシリーズ
全話解説と登場キャラ紹介が全ページフルカラーで鮮やかに掲載されている。これまでMCU作品が公開されたタイミングで出ていたディズニープラス作品のパンフだが、ソニー作品でも発行されるのは意外。(やしろ)
発行日:2023年6月16日
編集:株式会社東宝ステラ
デザイン:ダイアローグ
印刷所:日商印刷株式会社
価格:880円(税込)
第1〜4話解説:杉山すぴ豊/第5〜9話解説、インタビュー翻訳:傭兵ペンギン
『遺灰は語る』
ムヴィオラさん制作のパンフだけあって、兄の死を乗り越えて一人で監督したパオロ・タヴィアーニのインタビューに始まり、本作の主役であるルイジ・ピランデッロの解説や作中で引用されているピランデッロ作品や、劇中で使用されている映画作品を年代ごとに紹介する上、映画で登場する順番まで紹介する徹底ぶり。ムヴィオラ代表の武井さんの熱量あるコメントがそれを象徴している。(やしろ)
発行日:2023年6月23日(金)
編集:ムヴィオラ
デザイン:岡野登、柴田理子(サイファ。)
価格:800円(税込)
『君は放課後インソムニア』
主演2人の瑞々しさだけでなく彼らのクラスメイトや脇を固める大人キャストもとても魅力的で、誠実でやわらかく仕上げられた青春映画をとても気に入り、パンフも購入。綴じ込まれるポスター(ミニ)は彼らを繋ぐ大切なイベントを知らせるもの。このポスターが登場するあたりからグッと物語に引き込まれたので、鑑賞後、思い返すのにぴったりのパンフになった。石川のロケ地を活かした演出も素敵だったので、ロケ地マップも嬉しい。(ながせ)
発行日:2023年6月23日
発行者:大田圭二
編集:株式会社東宝ステラ
デザイン:大寿美トモエ(大寿美デザイン)
取材&文:壬生智裕
スチール:木村和平
印刷所:成旺印刷株式会社
定価:880円(税抜本体価格800円)
『告白、あるいは完璧な弁護』
スペインのミステリー映画『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』(2016)の韓国版リメイクとなる本作。二転三転するめまぐるしいストーリー展開のため、イントロ・ストーリー、キャストの情報のあとにネタバレ満載なテキストが続く親切な構成となっています。(しかまる。)
発行日:2023年6月23日
発行:株式会社シンカ
デザイン:成田祐人(SYNCA design)
定価:900円(税込)
『To Leslie トゥ・レスリー』
3本のコラムに監督インタビュー、プロダクションノートと、決してテキストが多いわけではないが、そのどれもが素晴らしい内容で、作品の背景となる部分をとてもクリアにしてくれる。(やしろ)
発行日:2023年6月23日
編集:南里仁美、水野裕基(ムービーウォーカー)、望月麗奈(サンクレイオ翼)
デザイン:印南貴行、森桃子(MARUC)
印刷所:三映印刷
価格:950円(税込)
『プー あくまのくまさん』
監督インタビューが素晴らしく、この作品がくまのプーさんの著作権が切れた途端に勢いだけで制作したわけでなく、かなり各方面への配慮があったことがうかがえる。中国で上映中止になったことにも触れていて、ある意味そこは怖いもの知らずなんかい!とツッコミを入れたくなる。人間食べ食べカエル氏のスラッシャー愛溢れるコラムや、プーさんの映画なのにサメ映画の話ばかりするサメ映画ルーキー氏のコラムなど、これぞエクストリーム!という内容のパンフ。(やしろ)
発行日:2023年6月吉日
編集:廣木淳
デザイン:星野和子(エクストリーム)
価格:1,000円(税込)
『断捨離パラダイス』
キャストインタビューが面白く、【映画「断捨離パラダイス」で一句】がまさに十人十色。特に泉谷しげるのインタビューがやりたい放題で笑ってしまった。(やしろ)
発行日:2023年6月30日
デザイン:木庭貴信+青木春香(オクターヴ)
価格:800円(税込)
『忌怪島』
キャスト紹介とコメント、スタッフ鼎談に加え、イマジョヌ唄の歌詞と解説、ロケ地ではなく、あくまで忌怪島のロケーションマップという、ちょっとどうかしてる内容(褒めてます!)。さらには月刊ムー監修の忌怪島特集記事まで入っており、本当にどうかしている(褒めてます!!)(やしろ)
発行日:2023年6月16日
編集:水野裕基
デザイン:石井靖(ビラコチャ)
印刷所:三映印刷(株)
価格:880円(税込)
編集人:佐藤英樹
取材・文・編集:大津美波子
『札束と温泉』
監督キャストのインタビューや出演者座談会が中心。A4サイズに写真も多めに配置しており、見ても楽しくなっている。(やしろ)
発行日:2023年6月30日
発行:渋谷プロダクション
編集:小林良二
価格:1,000円(税込)
ライター:黒豆直樹
『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』
監督対談とキャストインタビュー、コラムが1本と基本的なテキストはバッチリ押さえている。その中で写真もうまく配置されていてセンスを感じる一冊。(やしろ)
発行日:2023年6月30日
編集:株式会社キネマ旬報社
デザイン・イラスト:椚田透(nix graphics)
印刷所:株式会社 一九堂印刷所
価格:1,000円(税込)
執筆協力:くれい響
『ブラック・デーモン 絶体絶命』
サメ映画ライターによるサメ映画の変遷、どこか懐かしい「水辺に潜む世界の怪物たち」紹介ページも楽しいし、「油田で危険な生き物に襲われた場合の対処法」には笑った。そんな状況に陥ることもあるかもしれないし。とりあえず油田には近づくな!(パ)
発行日:2023年6月2日
編集・発行:松竹株式会社 事業推進部
編集:川本奈七星
デザイン:古山茉梨奈(ヘルベチカ)
定価:880円(税込)
『リトル・マーメイド』
ハリー・ベイリー演じるアリエルがディズニーアニメ風のイラストになった表紙が可愛い!プリンセス映画らしくキラキラのラメ加工もポイント。内容はキャスト・スタッフのインタビューなどしっかりと読み物が多めなのも嬉しい!(しかまる。)
発行日:2023年6月9日
発行者:大田圭二
発行所:東宝株式会社ライツ事業部
編集:株式会社東宝ステラ
デザイン:ダイアローグ
印刷所:成旺印刷株式会社
定価:880円(税込)
『青いカフタンの仕立て屋』
映画のキーとなる青いカフタンをイメージした表紙やカフタンに施される刺繍をイメージしたモチーフが散りばめられているおしゃれなデザイン。カフェバグダッドさんによる現地の雰囲気を感じられるコラムや、モロッコ料理エンリケマルエコス オーナーシェフの小川歩美さんによる劇中に登場する料理の再現レシピも載っています。いつかモロッコに行ってみたいなぁという気分になる一冊。
(しかまる。)
発行日:2023年6月16日
発行・編集:有限会社ロングライド
テキスト協力:落合有紀
デザイン:大寿美デザイン
定価:880円(税込)
『氷の微笑 4K 30周年記念レストア版』
30周年記念のためか、文字サイズが大きめ。老眼の方々に優しい作りになってるのではないでしょうか。公開当時と比べて、今この作品はどう見られるのかというのはリバイバル映画のパンフでは定番ですが、きっちりと抑えられています。(パ)
発行日:2023年6月16日
発行: ファインフィルムズ
デザイン:泉崎淳平(MK)
定価:900円(税込)
『リバー、流れないでよ』
ループ映画大好き人間なので、パンフなしでも劇場鑑賞するつもりでしたが、想像以上に内容てんこ盛りのパンフが用意されていました。ある機械のデザインについては読んで納得。個人的に上半期ベスト映画。(パ)
発行日:2023年6月23日
発行:株式会社トリウッド
編集:平井万里子
編集協力:天恵祐子、砂本莉沙、渡辺さよ
デザイン:三掘大介/木村真也(SIREN Inc.)
定価:1,200円(税込)
『小説家の映画』
ホン・サンス監督があまりにも多作なためパンフで語られることが間に合わないのでは?と危惧していたが、そんなこともなく森直人氏や久保玲子氏の寄稿が、特に説明がない本作の背景を浮かび上がらせてくれる。(やしろ)
発行日:2023年6月30日
編集:大堀知広、掛川あづみ(ミモザフィルム)
デザイン:Akane design(若林伸重、花岡文子)
価格:800円(税込)
インタビュー翻訳:奥平謙二
『再発見!フドイナザーロフ ゆかいで切ない夢の旅』
タジキスタン生まれバフティヤル・フドイナザーロフ監督の5作品特集上映のパンフレット。今回、それぞれの作品や監督を掘り下げられていて、初見だった自分も理解が深まりました。(パ)
発行日:2023年6月3日
発行元:ユーロスペース、トレノバ
編集:岡崎真紀子
編集協力:海瀬裕次、福士織絵
デザイン:山田裕紀子
定価:1,200円(税込)