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【TIFF1日目レポート2】自由に、ファビュラスに『ファビュラスな人たち』

文=鈴木隆子 妄想パンフイラスト=映女

庭でビニールプールを囲み、水着姿で楽しそうに踊る人たち。自由で穏やかなひとときを楽しむその光景が、ロベルタ・トッレ監督の「身体はこの世における私たち自身であり、そこに安息を見いだせないといけません」というメッセージと繋がった。

本当は大好きな緑のドレスで埋葬されたいと望んでいたのに、遺族の意思で男性の服装と髪型で埋葬されてしまった、30年前に亡くなった親友のアントニアの遺志を叶えるため、旧友たちが、かつてみんなで暮らしていたヴィラに集まった。

再会を喜び、思い出話や近況報告に花を咲かせ、クローゼットから昔の勝負服を引っ張り出し、思い思いに着飾る華やかなシーンの合間に、トランスジェンダーである出演者たちが、実際にどのように生きてきたのかを語るドキュメンタリー映像が差し込まれる。
差別や暴力、売春…。近年はドラマシリーズ『POSE』をはじめとした映像作品等で、性的マイノリティの人々が激しい差別を受けてきた時代について知ることができるようになってきたが、一人ひとりが体験し受けてきたものは当事者の数だけあるのだから、「知る」ことを止めてはいけないと改めて感じた。

親友のアイデンティティを、死後であったとしても守り抜く。方法はかなり奇想天外ではあるが、それがどれだけ大事なのかということと、行動に裏付けされた親友を想う気持ちの温かさが同時に伝わってくる。
主人公たちのその姿は、自分の人生を自由に選択し、歩んでいきたい、歩んでいこうとしている人たちの背中を押してくれているようだった。

35thTIFF 2022/10/25

作品情報

監督:ロベルタ・トッレ
キャスト:ポルポラ・マルカシャーノ、ニコール・デ・レオ、ソフィア・メヒエル
原題:Le Favolose
74分/カラー/イタリア語/英語・日本語字幕/2022年/イタリア
予告編はこちら

妄想パンフ

A4サイズ、縦のオーソドックスな判型。
表紙はアントニアが大好きだったという深緑のドレスと同じ色にシルクのような光沢の加工を施し、中央に小さく原題の「Le Favolose」と入れる。(色はポスタービジュアルのタイトルと同じショッキングピンク)
トランスジェンダーの権利向上に力を注ぐ、モデルのマディ&マーゴ・ウィットリーに寄稿をお願いしたいです。

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