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【TIFF1日目レポート2】実は身近な話かもしれない『テロライザーズ』

文=鈴木隆子 妄想パンフイラスト=映女

台湾に住む6人の若者たちの群像劇である本作。それぞれが抱える孤独や嫉妬、愛や欲望など様々な感情が交錯して、そのうちの一人がおこす通り魔殺人未遂事件に発展する。

実社会でも度々起きている残虐な事件は、ニュースでは表面だけしか伝えられないことがほとんどだが、被害者と加害者と、彼らを取り巻く人々や環境などの背景はどうなっていたのだろうかと、この映画を観ると考えさせられる。もちろん、人を傷つける行為は容認できるものではない。しかし事件の多くは、警察が調べる範囲を超えて、もっと広いところから徐々に徐々にグラデーションをかけるようにして、ある出来事や感情が変化していった結果なのかもしれない。

ホー・ウィディン監督が本作について「私は悲惨な事件が発生する際、人は無関係ではなく、みんな共犯だと思っているのです」と語っているように、もしかしたら今まで気づいていなかっただけで、自分自身がその一人、つまり「テロライザーズ」(元になっている「terrorize」とは、怖がらせる・おびえさせる、という意味)になっていたのかもしれないし、なる可能性があるかもしれないのだ。
(ちなみに「Terrorizers」は、台湾のエドワード・ヤン監督の映画『恐怖分子』(1986)の英題でもある。)

妄想パンフ

A4サイズのパンフの表紙は、登場する6人の若者たちをイメージして6色で表現。
それぞれが孤独だったり満たされなかったり、現代の若者の陰の部分を感じたので、明るい配色より、全体的に落ち着いたトーンの色味で構成。

作品情報

『テロライザーズ』(原題::Terrorizers[青春弒戀])
予告編はこちらから
監督:ホー・ウィディン[何蔚庭] 127分/カラー/北京語/日本語・英語字幕/2021年/台湾

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