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【TIFF1日目レポート1】不滅への幻滅と生への渇望『私たちの永遠の夏』

文=屋代忠重 妄想パンフイラスト=映女

「自分は死なないし、それが永遠に続くと思っていた」
本作はそんなティーンエイジャーが自覚なしに抱く幻想の挫折に対して与えられる、喪失と再生の物語だった。

18歳の夏の終わりという人生の区切りの一つに起きたある事件によって、フランスの男女7人夏物語はいともたやすく分解してしまう。主人公のリーズは友人ローラの喪失と後ろめたさから自分は死んだも同然の無であると考え、ボーイフレンドのマロとの別れを経て、あてもなく彷徨う事になる。18歳の若者が誰でも持ち得る、根拠のない永遠に続くと思っていた万能感の終わりを爽やかさをもって残酷に描く一方、マルロンをはじめとしたリタやコスモたちの新しいコミュニティとの出会いが、彼女の心境に新しい変化をもたらしていく。

野外イベントで出会ったある男性とのその後を聞かれたローラがついた「彼とは2度と会う事はない。だってもう一度会えば最初の夜の魔法が解けるから」というささやかな嘘が、カウンターとなって後の展開に驚きをもたらしてくれる。

我々もかつて持っていた全知全能なる過信をどこかむず痒く感じる、永遠なる75分の上映時間だった。

妄想パンフ

作品情報

『私たちの永遠の夏』(原題::Our Eternal Summer[L’Été l’éternité])
予告編はこちらから
監督:エミリー・オーセル
75分カラーフランス語日本語・英語字幕2021年フランス

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