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【PATU REVIEW】何度も繰り返したい一日はないけど、戻ってみたい一日なら確かにある『コンティニュー』

文=パンフマン

 「好きな映画を何度も繰り返し観るタイプ」と「できるだけ色んな種類の映画を観るタイプ」の人がいるとしたら、これまで後者のタイプだったのだが、前者も悪くないと思うようになってきた。映画は一度見れば大体覚えているし、わかるから、と決めつけていたのだけど、そうではなかったのだ。
 
 一つの作品に繰り返し向き合うことで、他愛もない会話や背景に隠された意味が何回目かに観てやっとわかったり、馬鹿にしていた登場人物も視点を変えてみるとこれまでとは違う捉え方ができるようになる。今まで魅力的に感じなかった人にも愛着が湧いてくる。ソフトを購入して、作り手の声である音声解説を聴きながらの鑑賞も良い。一度目は気づかなかったことが、二度目では分かったり、何度も見ていくうちに発見がある!という境地にようやく辿り着けた。
 
 これで連想したのが『恋はデジャ・ブ』。主演のビル・マーレイが同じ一日を繰り返す。その中で今まで何とも思ってなかった周りの景色の見え方が変わっていく。同時に自分本意の性格も。見ず知らずの他人と幾度となく出会い、その人の誕生日を知って、祝う。誰かの事故やトラブルを未然に防いだり、全く好きではなかった田舎町への理解も深めていく。ただ、他にすることがなかっただけかもしれないが。
 
 こうした主人公がある特定の時間を繰り返す、いわゆる「ループ物」と呼ばれるジャンルが最近は増えているらしい。あの日、あの時、あの場所に戻って、昔の出来事を変えたり、過去や未来へ飛んで、時代背景に戸惑ったり、ディストピアに絶望したりする「タイムトラベル物」は少なくなってしまったのなら、観客の「時間」に対する向き合い方が変わったのかもしれない。(と、思ってたら12日からタイムトラベルを題材にした映画『ベル・エポックでもう一度』やディズニープラスでマーベルドラマ『ロキ』が配信され、#過去に戻って変えたいこと というハッシュタグが盛り上がってたり、こちらのジャンルもまだまだ健在のようだ)
 
 「ループ物」には繰り返す日の中で、人生とは何かを見つめ直す哲学的な側面や何故ループを繰り返しているのかを解いていく謎解きの要素と脱出へのプロセスを面白おかしく描くゲーム的な部分の3つが大体重要なのだが、『コンティニュー』はこれらがバランスよく配置されている映画だ。
 
 といってもタイトル(原題:Boss Level)にもあるようにゲーム的な側面が強い。わざわざ一昔前のビデオゲームを登場させたり、毎回同じセリフを放ち、行動も決まっている暗殺者はゲームのキャラクターそのものだった。途中で負けまくり、もうプレイするのが嫌になるのはリアルのゲームも一緒。最終的には本気を出して、ループからの脱出という目的を目指して、攻略していく。(大抵ループ物の主人公はループ現象からの脱出を目指す。あえてループから脱出しようとしない脇役はいる。脱出しようとしないけど、脱出してしまう、とか他にもパターンはあります)
 
 戦闘を繰り返し次第に強くなっていく映画と言えば近年ではトム・クルーズ主演の『オール・ユー・ニード・イズ・キル』があったが、その原点は1903年英国の軍人アーネスト・スウィントンによって書かれた『愚者の渡しの守り』になるのだろうか。2018年に日本語訳が電子書籍として出版され、「タイムループで学ぶ戦術学入門」という副題が付けられている。河川のある地点を守るよう命じられた軍人が失敗するたびに、それ以前に戻って目が覚める。そして、敗れた教訓を生かし、再び作戦を練り直して、戦闘に臨むというストーリー。あまりにも優れていたためイラク戦争でも参考にされたそうだ。戦術書だが、普通の小説のように読みやすい。Kindle Unlimitedのラインナップに収録されている。
 
 ところで『コンティニュー』のラストってどんなだったっけ?ていうかなんでループしてたんだっけ。忘れてしまった。もう一度見直そう!
 
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