映画パンフは宇宙だ!

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映画パンフ A to Z 〜映画パンフにまつわる情報はここでチェック!〜

映画パンフを作っているのはだれ?

映画パンフレットの奥付を見ると、そこにはいくつかの登場人物がいます。
素敵なパンフレットを購入した時は、その作り手をおさえるのも楽しみ方のひとつ。
当コラムでは、PATUイチオシの映画パンフレットを手がけた方々をご紹介します!

〜会社編〜

映画パンフレットは多くの場合、作品の配給会社およびそのグループ会社、または商品化権を得た他の映画会社などによって作られます。発行または編集を手がけた会社に注目すると、意外な関係性や会社ごとの方向性が浮かび上がるかも?

アスミック/アスミック・エース
『ユージュアル・サスペクツ』(95)『トレインスポッティング』(96)『ビッグ・リボウスキ』(98)などミニシアターブームの立役者となる作品を配給、名作パンフも多数。

キネマ旬報社
日本最古の映画雑誌「キネマ旬報」の出版社として知られているが、実は映画パンフの編集も数多く手がけている。
『俳優 亀岡拓次』(15)『ばるぼら』(20)など。

松竹
映画パンフ好きなら誰もが首肯する“松竹クオリティ”ここにあり! 編集の熱量溢れる傑作パンフは枚挙にいとまがない。
『エクスペンダブルズ』シリーズ(10〜14)『舟を編む』(13)『シング・ストリート 未来へのうた』(16)など。

スールキートス
独特の作風で知られる映画会社。グラフィックデザイナー大島依提亜さんとの相性も抜群で、仕掛けたっぷりの映画パンフを多数編集。
『プール』(09)『トイレット』(10)『レンタネコ』(12)など。

東映
自社配給の邦画パンフを主に手がけている。
『探偵はBARにいる』(11)『ぼくのおじさん』(16)『孤狼の血』(18)『翔んで埼玉』(19)『ホットギミック』(19)など。

東京テアトル
配給作品同様に濃厚な内容と、ひと手間加えたデザインが特徴。
『タイピスト!』(13)『素敵なダイナマイトスキャンダル』(18)『旅のおわり世界のはじまり』(19)など。

東宝ステラ
東宝系列の劇場で公開される作品を主に手がける。王道から変型パンフまで幅広く編集。
『万引き家族』(18)『ピーターラビット』(18)『サスペリア』(19)など。

トランスフォーマー
配給作品がオシャレなだけに映画パンフも飾りたいものばかり。
『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』(19)『mid90s ミッドナインティーズ』(20)など。

ファントム・フィルム
エッジの効いた話題作とその映画パンフを多数手がける。
『君の名前で僕を呼んで』(18)『アメリカン・アニマルズ』(19)『ミッドサマー』(20)など。

◆ヘラルド・エンタープライズ/角川シネプレックス
恵比寿ガーデンシネマを中心に90〜00年代の洋画ブームを牽引。伝説の編集者・川勝正幸さんが手がけたパンフも多数。
『欲望』(94/再上映)『セレブリティ』(99)『17歳のカルテ』(00)『テルミン』(01)『パンチドランク・ラブ』(03)『過去のない男』(03)など。

エイガウォーカー/ムービーウォーカー
「FOXサーチライト・マガジン」を手がける。編集者・下田桃子さんと宇野維正さんのタッグで充実の内容!
『スリー・ビルボード』(18)『シェイプ・オブ・ウォーター』(18)『女王陛下のお気に入り』(19)など。

リトルモア
作家性の強い映画作品に呼応した、読み物として充実した映画パンフを得意とする。
『空中庭園』(05)『まほろ駅前多田便利軒』(11)『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(17)など。

ロングライド
『パターソン』(17)『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』(20)『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』(20)など話題作多数。
過去作のパンフの一部は通販でも購入できる。

ユーロスペース
独自の審美眼で数々の名匠を日本に紹介。パンフも個性的なものが多数!
『焼け石に水』(01)『ル・アーヴルの靴みがき』(12)『希望のかなた』(17)など。

〜デザイナー編〜

映画の世界観を冊子の形に具現化する、映画パンフレットにおけるデザイナーの仕事はまさにクリエイティブそのもの! 並べてみると、意外な作品を意外な方が手がけていたりする発見も。きっとあなたにもお気に入りのデザイナーさんが見つかるはず。

◆荒澤舞(Move Graphics Inc.)
『グラン・トリノ』(09)『ゼロ・グラビティ』(13)『ダークナイト ライジング』(12)など誰もが知る洋画超大作の仕事多数。

◆石井勇一(OTUA)
錚々たる受賞歴からの確かな仕事。
限定版が即完した『君の名前で僕を呼んで』(18)、モノリス型の『キューブリックに愛された男/キューブリックに魅せられた男』(19)、『WAVES/ウェイブス』(20)『mid90s ミッドナインティーズ』(20)など。

◆大島依提亜
PATU MOOK創刊号「大島依提亜と映画パンフ」で特集。
旅行かばん型の『かもめ食堂』(06)、タイプライターを模した『タイピスト!』(13)『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』(20)など。

◆大寿美トモエ
膨大な数の作品を宣伝デザインから手がけていて、エンドロールでもよくお見かけする。
『フラガール』(06)『アフタースクール』(07)『鍵泥棒のメソッド』(12)『そこのみにて光輝く』(14)『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』(20)など。

◆岡野登(Cipher.)
超大作から単館系まで宣伝段階から一気通貫の仕事を数多く手がける。
『殺し屋1』(01)『ボウリング・フォー・コロンバイン』(03)『ビフォア・サンセット』(05)『探偵はBARにいる』(11)『アーティスト』(12)『湯を沸かすほどの熱い愛』(16)など。

◆小嶋謙介(green.)
音楽的センス溢れるデザイン。忌野清志郎をはじめ数々のCDジャケットデザインも手がける。
『ジャージー・ボーイズ』(14)『ラ・ラ・ランド』(16)『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(17)『キングコング:髑髏島の巨神』(17)など。

◆潟見陽(301)
丁寧な作りのパンフレットに定評あり!
『大統領の執事の涙』(14)『エヴォリューション』(16)『彼らが本気で編むときは、』(17)『素敵なダイナマイトスキャンダル』(18)など。

◆川上圭三(川上デザイン室)
『ゴッドファーザー』(04再上映)『鉄人28号』(05)『ものすごくうるさくてありえないほど近い』(12)『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(15)『Fukushima 50』(20)など、高品質の映画パンフレット多数ありのベテラン。

◆五次元図案構成
垣花誠さんと志氣慶二郎さんがかつて組んでいたユニット。攻めに攻めたデザインでコレクター魂くすぐるパンフレットを多数制作。
『キル・ビル Vol.2』(04)『エクスペンダブルズ』(10)『インセプション』(10)『舟を編む』(13)など。

◆須藤知華(PLAINS inc.)
『クロユリ団地』(13)『アリー スター誕生』(18)『マッキー』(19再上映/PATU編集) 『私をくいとめて』(20)など幅広い作品を手がける。

竹本純生(Graphic Manipulator)
川勝正幸さんと組んで、ファッショナブルなパンフレットを多数手がける。
『スローガン』(95)『太陽の下の18才/狂ったバカンス』(97再上映)『アンナ』(98再上映)『マルホランド・ドライブ』(02)『ウェイキング・ライフ』(02)など。

◆飛田健吾(INFINI I GRAPHICS)
『私の男』(14)など。近年は『マグニフィセント・セブン』(17)『ダンケルク』(17)『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』(20)など洋画大作多し。

◆冨岡祥雄(metamo)
情報量の多い大作映画を読みやすくスマートにまとめる手腕に感服。
『るろうに剣心』シリーズ(12〜)『パシフィック・リム』(13)『銀魂』シリーズ(17〜18)など。

◆長井雅子(InC)
可愛らしいパンフレットや旧作邦画の宣伝デザインを数多く担当。映画愛溢れる“小物使い”に注目!
『ミレニアム・マンボ』(01)『ひみつのアッコちゃん』(12)『わが母の記』(12)『男はつらいよ お帰り 寅さん』(19)など。

◆中平一史(Viemo)
超カルト映画からどメジャー大作まで守備範囲は広範。北野武映画関連の仕事多数。
『インターステラー』(14)『アウトレイジ 最終章』(17)『ザ・ファブル』(19)など。

フィッシュ・デザイン/thumb M
大橋修さん主宰。ミニシアターブームの頃から数々の名作を手がける。
『デルフィーヌの場合』(98)『奇人たちの晩餐会』(98)『パンチドランク・ラブ』(03)『座頭市』(03)『ぐるりのこと。』(08)『T2 トレインスポッティング』(17)など。

◆吉川俊彰(PLAINS inc.)
『SAW』シリーズ(04〜10)の宣伝ビジュアルなど、スタイリッシュな洋画作品の仕事多数。『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』(17)『イエスタデイ』(19)など。

〜印刷会社編〜

編集者やデザイナーが設計した映画パンフレットが、高品質の商品として世に送り出されるのは、印刷会社のプロフェッショナルな仕事あってこそ!ここでは、普段意識することは少ないかもしれないが、知る人ぞ知るヒットメーカーである印刷会社に注目してみる。

◆アベイズム
『(500)日のサマー』(10)『シング・ストリート 未来へのうた』(16)『彼らが本気で編むときは、』(17)など。

◆アベ印刷
『まほろ駅前多田便利軒』(11)『グッド・ストライプス』(15)『アメリカン・アニマルズ』(19)『ミッドサマー』(20)など。

◆久栄社
『ヒストリー・オブ・バイオレンス』(05)『白夜行』(11)『キャリー』(13)『舟を編む』(13)『万引き家族』(18)『サスペリア』(19)など。

◆三永印刷
『オーバー・フェンス』(16)『素敵なダイナマイトスキャンダル』(18)『旅のおわり世界のはじまり』(19)『スパイの妻』(20)など。

◆三映印刷
『メリンダとメリンダ』(05)『探偵はBARにいる』(11)『孤狼の血』(18)『翔んで埼玉』(19)『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』(20)など。

◆成旺印刷
『たかが世界の終わり』(17)『ホット・サマー・ナイツ』(19)『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』(20)など。

◆大洋印刷
『セレブリティ』(99)『テルミン』(01)『パンチドランク・ラブ』(03)『さよなら、さよならハリウッド』(05)『インランド・エンパイア』(07)「FOXサーチライト・マガジン」など。

◆多田印刷
『ビッグ・リボウスキ』(98)『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』(06)『フラガール』(06)『TOKYO!』(08)など。

◆日商印刷
『エクスペンダブルズ』(10)『インセプション』(10)『武士の家計簿』(10)『SHORT PEACE』(13)『メッセージ』(17)など。

◆野毛印刷社
『プライマー』(05)『かもめ食堂』(06)『アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶』(06)など。

◆文化印刷
『バーバー吉野』(04)『焼け石に水』(01)『ぐるりのこと。』(08)、ユーロスペース初期の館名入りパンフレットなど。

◆北斗社
『トレインスポッティング』(96)『17歳のカルテ』(00)『恋の門』(04)『めがね』(07)『プール』(09)『タイピスト!』(13)など。

 

 

 

映画パンフはどこで買える?

通常は映画の劇場公開中にしか購入できないパンフレット。しかし世の中には“映画パンフレットに強い”古書店が存在する! 新品を買える通販サイトも。あなたも思い出の作品のパンフレットを掘り起こしてみてはいかが?

〜オンライン〜

Froovie/フルービー
映画会社・松竹が運営する映画・アニメグッズショップ。
松竹が編集した過去作のパンフレットを多数取り揃えている。

シネマ ジャック&ベティ グッズショップ
ジャック&ベティ上映作品のパンフレットや映画館グッズを販売中。
※劇場での上映中作品のパンフレット販売もあります。

映通社
映画パンフとポスターの通販を行う。出張店舗もたまに見かけます。掘り出し物多数!

たなべ書店(東京・南砂)
創業1986年の映画パンフレット専門古書店。インターネットでは5万点以上の映画パンフを販売する。

※実店舗での販売もあります。
アクセス:
南砂駅徒歩より徒歩5分
〒136-0076
東京都江東区南砂4丁目18-10

アットワンダー(東京・神田)
映画パンフのみならず、ポスターやチケットなども充実。2Fにはカフェも!

※実店舗での販売もあります。
アクセス:
神保町駅より徒歩30秒
〒101-0051
東京都千代田区神田神保町 2丁目5-4 開拓社ビル1F2F

〜実店舗〜

神保町ヴィンテージ(東京・神田)
映画パンフ・ポスター好きが集まる名店。豊富な品揃えで、海外からの訪問者も多数!

アクセス:
神保町駅より徒歩2分
〒101-0051
東京都千代田区神田神保町2丁目5 神保町センタービル1F2F
TEL 03-3261-3577

矢口書店(東京・神田)
映画・演劇・演芸・戯曲・シナリオの専門古書店。往年の作品の映画パンフも一部取り扱う。

アクセス:
神保町駅より徒歩3分
〒101-0051
東京都千代田区神田神保町2丁目5-1
TEL 03-3261-5708

※随時更新中!
※情報がありましたら pamphlet.uchuda@gmail.com までお寄せください。

 

 

 

映画パンフはどこで読める?

映画パンフレットは書籍でも雑誌でもない不思議な存在。だから国会図書館にも置いていないんです! それでも、過去作パンフを読みたい方のために、映画パンフをじっくり読める図書館をご紹介します。

国立映画アーカイブ(東京・京橋)
国立映画アーカイブは映画フィルムの保存が主な事業ですが、
図書室には映画に関係するあらゆる資料が収集されています。複写サービスもあり。

アクセス:
京橋駅・宝町駅より徒歩1分
〒104-0031
東京都中央区京橋3丁目7-6
TEL 050-5541-8600

大谷図書館(東京・東銀座)
松竹が芸術文化の振興を目的として設立した、演劇と映画の専門図書館。
研究家や愛好家が集う、こじんまりとした図書館です。複写サービスもあり。

アクセス:
東銀座駅より徒歩1分
〒104-0045
東京都中央区築地1丁目-13-1 銀座松竹スクエア3F
TEL 03-5550-1694

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