No18 「映画パンフは宇宙だ」(PATU)ってなに?

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文=高城あずさ

はじめまして!
「映画パンフは宇宙だ」の主宰をしております、高城あずさと申します。

何を書こうかと随分悩みましたが、最初のターンですので、
そもそも「映画パンフは宇宙だ」(通称PATU)とはなんぞや?
ということを、つらつらと書いてみたいと思います。

◉映画パンフは宇宙だ(PATU)ってなに?

「映画パンフは宇宙だ」―― 珍妙な名前です。
いまだに名乗るときに気恥ずかしさを覚えますが、変な名前ゆえ記憶に刻まれやすいのか、
最近では「知ってる!」と言ってくださる方も増えてきて嬉しい限りです。

映画パンフは宇宙だ、通称「PATU」(パトゥ:Pamphlets Are The Universeの略)は、映画パンフをひたすら愛でる有志の自主団体。「映画パンフ文化」のさらなる発展と継承を目指し、現在26名(2020年9月執筆時)のメンバーとともにSNSでの情報発信やZINE制作など、さまざまな活動をしています。

コロナ禍も相まり、最近特に力を入れているのがZINEの制作です。
詳しくはこちら

2019年11月に復活上映された映画『マッキー』(S・S・ラージャマウリ監督)の復刻版パンフの編集を皮切りに、2020年3月には団体初の自主制作本『アリ・アスター短編解説読本 ”I HOPE THAT PEOPLE WILL FEEL UNSETTLED.”』を上梓。5月上旬には、コロナ禍で「おうち映画」を楽しむ方々へ向けて3冊のデジタル副読本を、下旬には“パンフなき”配信コメディ映画を解説したZINE『ミラクル』を発売しました。『アリ・アスター短編解説読本』は好評をいただき、『ミッドサマー』公式Blu-rayのリーフレットでも一部編集をさせていただく運びとなりました。そして7月には、おそらく業界初の“映画パンフ専門誌”となる『PATU MOOK』を創刊。グラフィックデザイナーの大島依提亜さんを特集し、こちらも第3版まで増刷されるなど好評をいただいております。

映画パンフは宇宙だの刊行物はすべてこちらからご購入いただけます。

◉映画パンフは宇宙だ(PATU)立ち上げの話

「映画パンフは宇宙だ」は、2018年、5人の“映画パンフ好き”により立ち上がりました。

きっかけは、映画パンフ文化“消滅”への漠然とした危機感。
一部の映画館で、かつては手にとれていた見本誌がレジ奥の棚に移動していたり、そもそもパンフ自体が作られない作品が増えていたり。
業務縮小化の波が、連綿と続いてきた日本独特の「映画パンフ文化」に暗い影を落としていると感じました。

さらに驚いたのが、映画パンフにまつわる書籍や論文の少ないこと!
誰もが一度は手にしたことのある冊子のはずなのに、体系的に歴史を調べようにも全容を掴みにくい(※)のです。リサーチを進めると、2011年5月に国立映画アーカイブで「映画パンフレットの世界」なる展示イベントが催されていたことを知りました。すぐさま、このイベントのキュレーションをされていた主任研究員・岡田秀則さんにアポイントメントを取らせていただきました。

国立映画アーカイブ「映画パンフレットの世界」

岡田さんから伺った“パンフエピソード”はあまりに刺激的でした。
映画プログラムがパンフレットと呼ばれるようになったきっかけ、かつては映画館ごとに館名入りのパンフが作られていたこと、そして映画パンフは本ではなくグッズとして扱われているため、国立国会図書館でも全作品は網羅されていないこと――。

映画パンフの話を通して、新しい映画史が浮かび上がってくるかのようでした。
こんなに面白い話を、私ひとりの中だけに留めておくのはもったいない! さらに火がついてしまい、気づくと自由が丘のギャラリーを予約していました。

※その後、『プログラム映画史―大正から戦中まで懐かしの復刻版』(1978年)や『ミニシアターグラフィックス』(2007年)などの素晴らしい本があることを知りました。ただ、今日に至るまでの映画パンフ文化の全貌を掴む本が必要であるという思いは変わりません。

◉PATUの守護神・カミヤマノリヒロさんとの出会い

そこで開催したのが、展示&トークイベント「映画パンフは宇宙だ!」です。
自由が丘のギャラリーにおよそ300点の映画パンフを展示し、関連のゲストにトークイベントを行っていただきました。

ここでおひとり、どうしても感謝を伝えたい方がいます。
ブログ「三角絞めでつかまえて」の“三角絞めさん”ことカミヤマノリヒロさんです。
カミヤマさんが、ブログで映画評に加えてパンフレビューをされていることは、もはやここに書くまでもありません。
ブログ「三角絞めでつかまえて」

展示イベントの計画が立ち上がったとき、岡田さんとともに真っ先に登壇をオファーさせていただいたのがカミヤマさんでした。カミヤマさんはイベント登壇にご快諾くださったばかりでなく、イベントの資金集めに苦戦している私たちを見かねて(!)くださり、クラウドファンディングの応援記事に加え、TBSラジオ「アフター6ジャンクション」にご出演の際には宣伝までしてくださりました。カミヤマさんなくして「映画パンフは宇宙だ」は走り出せなかったのです。

お陰さまでクラウドファンディングでは、予想を遥かに上回る121人の方からご支援をいただき、イベントは無事開催されるに至りました。ご協力くださったすべての皆さまには、今も頭が上がりません。

◉第1期メンバー募集とその後

イベント終了後は、立ち上げメンバー持ち回りで「シネコンウォーカー」新宿ピカデリー版にコラムを書かせていただいたり、大阪のCINEMA BOOK CAFÉさんと展示コラボをさせていただいたり、地道な啓蒙活動を続けておりました。

そんな折、ご縁あって2019年9月に復活上映されたS・S・ラージャマウリ監督の『マッキー』の増補版パンフレットを「映画パンフは宇宙だ」が受託編集させていただくことになりました。

これを機に活動の幅をさらに広げていきたいと思った私たちは、映画パンフは宇宙だの第1期メンバー募集を行いました。応募者はみな“映画パンフ”というキーワードで繋がっているため、年齢層も、好きな映画のジャンルも多種多様。個性あふれる30名以上の方から応募いただき、今の体制となりました。

このタイミングで、映画パンフは宇宙だの活動の軸も下記の2点に刷新されました。

①映画パンフレット文化の継承と発展・発信に資する活動をする
②映画パンフレット的なアプローチで「ひとつのテーマを深く掘り下げる刊行物」を作ることにより、映画を観て・読むことの楽しさを伝える。

具体的な活動については、冒頭で触れた通りです。

◉今後の「映画パンフは宇宙だ」と2021年の個人目標

さて、ブログも終盤に突入してまいりました。
先月第2期メンバー募集をしたところ、お陰さまで46名の“映画パンフ好き”からご応募をいただきました。心より感謝申し上げます。これからもエキサイティングな企画が林立していきそうな期待に胸が膨らんでいます。

一方、個人的な目標もあります。
2021年は、映画パンフレットを体系的に研究する年にしたいということです。

わが家にも数千冊の映画パンフレットがありますが、膨大なアーカイブを前に、どこから手を付けるべきか分からぬまま、今はとにかく1冊ごとに紹介している状況です。これでは「文化の継承」という大目標には届きません。時代のピースを埋めていくような研究が必要であると痛感しています。2021年、個人的には「発信」から少し離れて、リサーチに身を浸したい気分でもあります。そんな中で、研究成果として「PATU MOOK」第2弾をを刊行できれば良いなと考えていたり……。

でも、ええ…… 目の前の活動が楽しくて、ついつい動き回って日が暮れてしまうんですよね。
1年後も同じようなブログを書くことにならないように、メンバーに見張っておいてもらわなきゃ……。

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