No16 見て楽しい、触って驚き。奥深き紙の世界

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文=板橋利男

「本は紙でできてるんだ」。そんなこと、誰だって知っていますね。では、「あんた、この紙わかるかね?」。こう手元の紙の名前を聞かれたら、答えられる人はほとんどいないのではないでしょうか。
このセリフは、はらだみずきさんの小説「銀座の紙ひこうき」(中央公論新社)の一節。紙専門の商社に就職した主人公が、自身の仕事を通して紙の奥深さを知っていく本書は、本が好きな人にぜひ読んでほしい一冊です。
そして、当然ながら映画のパンフレットも紙でできています。特定の映画のためだけに作られるパンフレットは、他の雑誌などに比べて、その映画の特徴を反映したつくりになりやすく、紙の種類もさまざまです。そこで今回は、“紙が素敵なパンフレット”を紹介します。

『舟を編む』(2013/監督:石井裕也)

松田龍平さん演じる馬締が国語辞典の編纂に挑む物語。この映画のパンフレットでは、劇中で登場した辞書「大渡海」の本文に使われた紙を実際に触ることができます。ページを捲る時の“ぬめり感”は、他のページと比較すればなお分かりやすく、何度も試したくなるはずです。また、モノクロのページはややざらっとした手触りで、カラーページになると滑らかで落ち着いた感触の紙になります。パンフレットを読み進めるなかで、手触りの違いも楽しめるのもオススメです。

『東京喰種 トーキョーグール』(2017/監督:萩原健太郎)

人の姿をしながらも人を喰らう怪人“喰種”。その喰種と人間の間にいるカネキが着用するマスクが、パンフレットの表紙で再現されています。こちらも『舟を編む』同様に手触りに特徴があり、ワニ革のような凹凸があることが分かります。さらに、マスクの目の部分が型抜きされており、次のページに印刷されたカネキの赫眼が表紙のマスク越しに見える仕様。表紙への力の入れ方がうかがえるパンフレットです。

『ザ・ウォーク』(2016/監督:ロバート・ゼメキス)

地上411mのビルの間に直径わずか2.2cmのワイヤーを張り、命綱を付けずに歩いた男がいた。そんなとんでもない映画のパンフレットには、ちょっとした遊び心が。表紙を開いてすぐ、一本の線が印刷されたトレーシングペーパーが挟まれています。これは、その後ろの写真に映るビルとビルの間に張ったワイヤーを表しているのです。そのトレーシングペーパーをめくると、こんどはワイヤーを渡る男がバランスをとるために持っていた長いバーに変わります。緊張感に満ちた映画のあとに、ちょっとした緩和をもたらす仕掛けでした。

ここで紹介した以外にも、普段何気なく触れている紙それぞれに特徴があります。パンフレットを読む際に、少し気にしてみるのもおもしろいかもしれません。
また、現在絶賛発売中の「大島依提亜と映画パンフ」では、大島さんがピックアップした紙を実際に触ることができるようになっています。興味がわいてきた方は、ぜひこちらもチェックしてみてください!

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