No5 歌詞に出てくる映画パンフについて調べてみた件

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文=パンフマン

現在、新型コロナウイルスの感染拡大により全国の映画館が休業を余儀なくされ、苦境に立たされています。このような状況の中、下記のクラウドファンディングサイトで支援することができます(5月14日まで)
未来へつなごう!!多様な映画文化を育んできた全国のミニシアターをみんなで応援
ミニシアター・エイド(Mini-Theater AID)基金(詳細はこちら

当団体「映画パンフは宇宙だ(PATU)」でも、こうした影響で「おうち映画を楽しまれている皆さまへ」ということで、作品の副読本となるファンブック「Fan×Zine」の発売が決定しております。売上金の一部はミニシアター・エイド基金へ寄付いたします。(詳細はこちら

また、下記の映画館や配給会社等のサイトから映画のパンフレットを通信販売にて、購入可能です。こうした形での支援も可能です。
クロックワークス
ザジフィルムズ
シネマスコーレ
ジャック&ベティ
東風オンラインショップ
東映オンラインショップ
名古屋シネマテーク
フルービー
ビターズ・エンド
アップリンク

映画パンフは資料として、一級品のものです。作品ごとにこれほど多くの映画パンフが作られているのは日本だけだそうです。一冊の中に書かれた作品の情報にはネットには出てこないものも当然あります。これからも映画パンフという文化が継続していけるよう切に願っています。

※パンフがなければネットで調べればいい?両方で調べればいいと思います。

今回はそんな映画パンフが、歌の中にどのように登場してきたのかを、歌詞検索サイトで調べてみたところ、そんな曲がなんと何曲か見つかりました。
その曲の時代に存在した映画と共に振り返ります。それでは、年代順にCOUNT DOWN!!

古時計ーロードショー(1976)


1曲目は1976年に発売された、男性フォークデュオ・古時計による「ロードショー」です。大橋裕之さんの漫画『音楽』に似た名前のバンドが登場しますが、もしかしたら、その由来となった二人組かもしれません。このシングルはデビュー曲ながら60万枚ほど売れたそうです。

[歌詞について]
歌詞の情景描写はこのような感じです。
「わたし」は映画館のロビーで、知らない誰かと「あなた」がいるのを目撃してしまい、映画パンフを持つ手がわなわなと震えてしまう、というものです。
「わたし」が「あなた」から忙しくて逢えない、と言われていた理由がここでわかったわけです。歌にはさらに続きがあります…。
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[曲名、当時のヒット作など]
曲名の「ロードショー 」という単語は今でも耳にしますが、この曲が発売された当時1970年代頃からは、「大作映画」が全国の100以上の映画館で同時に公開するという手法が採用され、そのことを「全国ロードショー」「拡大ロードショー」と称されていたようです。
この曲が発表された1976年の最大のヒット作はダントツで『ジョーズ』でした。洋画では2位が『グレートハンティング』、トップ10には他に『オーメン』、『カッコーの巣の上で』、『グリズリー』、『ベンジー』、『スナッフ』などが入っています。短くて覚えやすいタイトルが多いですね。生物の映画も目立ちます。

邦画のトップは『続・人間革命』、2位が『犬神家のの一族』、トップ10には『男はつらいよ』と『トラック野郎』シリーズが2作ずつ入ってます。

飯島真理ーセシールの雨傘(1985)


2曲目はアニメ「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」の主題歌「愛・おぼえていますか」で知られるシンガーソングライター・飯島真理さんによる「セシールの雨傘」です。5枚目のシングルで、4枚目のアルバム「KIMONO STEREO」に収録されています。シングルとアルバムとでバージョンが違っていて、私はスティールパンのイントロで始まるアルバムバージョンのほうが好きでした。

[歌詞について]
この曲の作詞はなんと松本隆さんです。『悲しみよ こんにちは』+『シェルブールの雨傘』のような世界観でしょうか。
「わたし」は雨の街で、新しい彼といる君を見かけます。セーターを着た君は胸に「映画のパンフレット」を抱いていました…。
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[当時のヒット作など]
それにしても、胸に抱きしめるくらい大切にしたくなる映画パンフは一体なんの作品なんでしょう。


1985年の正月映画は「ゴジラ」「グレムリン」「ゴーストバスターズ」の「3G決戦」と呼ばれたそうです。2016年夏には『シン・ゴジラ』『ゴーストバスターズ』ときて、この年の再来を期待する声もありましたが、再現とはなりませんでした。「グレムリン」の続編かリメイクかという話は以前からあったみたいですが。


※グレムリン…塗り絵パンフの元祖?

1985年公開の作品はこの年だけで、オールタイムベスト10が作れそうなほど充実しています。ここ数年でも色んな作品にオマージュされている『朝食クラブ』、天才チンパンジーの『フェノミナ』、ココリコの田中さんがお笑いを目指すきっかけとなった『やぶれかぶれ一発勝負!!』など山ほどありますね。でも、一番有名なのは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でしょうか。

数年前に主人公マーティの父親を演じたクリスピン・グローヴァーさんが来日した時に、この作品の話を少ししていました。ロバート・ゼメキス監督と作品の内容について、言い合いになったそうです。その時に「俺だってお前と同じで変な映画が好きだよ。だから、ユーズド・カーなんて映画も作ったけど、全然ヒットしなかった。いまは作品をヒットさせて、お金が欲しいんだよ」と言われたそうです。当時、ゼメキスさんは33歳。作品は大ヒットしました。それ以降、現在に至るまで変わった作品で楽しませてくれています。


※ここ10年のゼメキス監督作パンフを並べてみると色調が似ていました。

CoCoー雨のジェラシー(1990)

3曲目は女性アイドルグループCoCoの1stアルバム『Strawberry』の3曲目に収録された「雨のジェラシー」です。

[歌詞について]
2曲目と同じ雨のようです。「私」は映画館から出てくる二人を偶然にも見てしまいます。(二人とも?)パンフレットを胸に抱きしめています…。私の心にも雨が降ってきます。2曲目とかなり近い描写です。映画パンフって胸に抱きしめるものだったんですね。知りませんでした。いま知りました。
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[何のパンフ?]
二人?が胸に抱いていたのはおそらくマイケル・ムーアのデビュー作『ロジャー&ミー』のパンフではないでしょうか。アメリカで公開されて半年後に日本でも、この年に公開されてるんですね。すごいですね。パンフも作られています。


※『ロジャー&ミー』のパンフ。今だったら、物足りなさを感じてしまう内容かもしれませんが、逆に文字数が少なく読みやすいかも?制作過程や背景が丁寧に書かれています。

ムーアの故郷、デトロイトの郊外にあるミシガン州フリントでGMの工場が閉鎖され、多くの人がリストラされました。彼は危機に瀕した故郷の街にカメラを向けます。GMの「合理化政策」に抵抗しようとする街の人々を捉えます。GMの会長に突撃取材を試みるシーンでは「面会の理由は?」と聞かれ、「俺はムーアだ」と理由になってない回答をします。今だったら、通じるかもしれませんが、当時は映画監督としては駆け出しの頃です。「マイケル・ムーアじゃねーよ」で知られる芸人さんもまだ子どもの頃です。パンフレットには「街で3年間、ビンゴ大会を開きながら、制作資金を貯めた」と書かれており、最後のページにはムーアによる現代を予言するようなコメントで締められています。

『ロジャー&ミー』はアメリカの「いま」を捉えた作品ではありませんが、今とも通じる作品です。舞台となったフリントは『華氏911』(2018)でも再び登場してしまいました。周辺のデトロイトは何度も映画の舞台になっています。2013年に財政破綻してしまいますが、その後は再生の道を歩んできています。

デトロイト産の映画を載せておきます。「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』、『ドント・ブリーズ』、『アメリカン・スリープオーバー』などの舞台にもなりました。『アイリッシュマン』にも登場したジミー・ホッファとも縁が深い土地でした。日本車の進出によって大量の失業者を抱えていた中、中国系アメリカ人が日本人と間違えられて、殺された事件を追った『誰がビンセント・チンを殺したか?』(1987)はDVDになってませんが、VHSテープなら中野区中央図書館で借りられます。

荻野目洋子ー風のように翼のように(1994)

4曲目は歌手であり、女優でもある荻野目洋子さんの「風のように翼のように」です。16枚目のアルバム「SCANDAL」に収録されています。

[歌詞について]
2、3曲目とは変わって、「雨上がり」の描写から始まります。泣いてばかりはいられない、立ち上がるんだという決意のもと、新しい生活に向けて、スタートを切っていく気持ちが歌われた爽やかなナンバーです。「映画パンフ」は過去を忘れるために、思い出のアルバム、借りたままのCD共にクローゼットに放り込まれてしまいます…。
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[当時]
1994年頃にはミニシアターブームもあり、デザイン性に富んだお洒落なパンフがたくさん生まれた時代だったのではないでしょうか。


※93~94年頃に作られた映画パンフの一部。個性的なパンフ、百花繚乱の時代がしばらく続きます。

ivoryーキスとの遭遇(2005)


5曲目は2000年に結成された男性2人組ユニット、 navy&ivory (ネイビーアンドアイボリー)のファーストアルバム『恋愛の樹』に収録された「キスとの遭遇」という曲です。彼らの代表曲「指輪」は2005年に有線放送キャンシステム年間お問い合せランキング1位になったこともあるそうです。

[歌詞について]
歌詞の情景描写はこんな感じです。「君」との映画デートを待ちわびていた「僕」は上の空の状態で作品にも集中できず、「君」とキスすることばかり考えてしまいます。上映終了後、パンフを拡げながら、映画の感想を話す「君」を「僕」は可愛いと思います…。これで聴きたくなった人はどこかで探して聞いてみてください。どうぞ。
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[なんのパンフ?]

2005年といえばワンシチュエーションスリラーの『セルラー』でしょう。電話映画の傑作でもありました。

ストーリーは科学の教師が誘拐されてしまいます。監禁された部屋で壊された電話を修復し、外との連絡を試みます。そこで、偶然つながった電話の相手に助けを求めました…。監督は俳優やスタントマンからキャリアをスタートさせたデヴィッド・エリス。犬と猫の冒険を描いた『奇跡の旅2』(96)で監督デビュー後、『ファイナルデスティネーション』シリーズの中でも人気の2作目『デッドコースター』でもメガホンを取りました。その次の作品がこの映画でした。

中でも、誘拐犯を演じたジェイソン・ステイサムが印象的です。水泳の選手からモデルに転身し、役者となってからはまだ10年も経っていませんでしたが、存在感を発揮しています。

誘拐された教師のキム・ベイシンガーを救うべく奔走するのが、クリス・エヴァンスです。この年の主な出演作は『スカーレット・ヨハンソンの百点満点大作戦』のみと、この頃はまだ若造でした。キャップのオーラはあまり感じられません。ただし、パンフレットにはプロデューサーから「彼は次世代のトム・クルーズになる人」と期待が込められています。

さらにパンフレットにはこの二人の「携帯電話」についてのインタビューも掲載されています。今だったら、まず聞かれることはないでしょう。当時はスマホ前夜でしたが、携帯電話の所有率は8割くらいにはなってた時期ではないでしょうか。皆が持ち始めて、携帯との付き合い方をまだ模索されている時代でもありました。

まとめ

以上、見つけられたのは5曲でした。
他に歌詞で見つかったのは学校のパンフレット、結婚式場のパンフレット、旅行のパンフなどで、映画パンフではありませんでした。

調べられたのはカラオケで配信されている曲のみが対象ですので、他にもまだあるかもしれません。
知っている方がいらっしゃれば、教えてください。

これらの曲を聞いてみて、カラオケ店が営業再開すれば歌ってみるのもいいですね。
ライブハウスで歌詞に「映画パンフ」が入ったオリジナル曲を披露するのもいいですね。

今回は歌詞に出てくる映画パンフについて調べてみました。
お読みいただき、ありがとうございました。

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